手術の流れ
白内障手術
白内障とは目の前方にある水晶体というレンズが、白く、もしくは黄色く濁ってくる病気です。加齢によるものや糖尿病、外傷、アトピーなどさまざまな原因で生じます。一定までの濁りであれば視力が低下することはありませんが、ある程度を越えると視力低下をきたします。
白内障は、放置さえしなければ基本的には失明する病気ではありません。しかし一度発症すると、薬では治りません。薬剤は、白内障が発生する前に予防をするか、発症した初期に抑制することができますが、最終的には手術をする以外の方法はありません。
白内障手術の方法 (術式・麻酔方法・手術時間)
術式
2.2mm極小切開白内障手術
切開幅が非常に小さいため、術後の炎症が軽微で傷の治りも早く、術後乱視も軽減されます。
麻酔
手術は基本的に点眼麻酔のみでおこないます。
痛みを強く感じる方や、その恐れのある方には、局所麻酔も使用いたします。
時間
症状によって異なりますが、約4分~15分程度かかります。病状により手術時間は変わります。偽落屑症候群などではチン小帯という水晶体を支えるところが弱い場合があり、眼内レンズを縫い付ける手術が追加で必要となることがあります。
手術中・手術後の注意点
手術中
麻酔は局所麻酔でおこなうため、会話は可能です。
何か困ったことがありましたら身体は動かさず声に出して知らせてください。
手術後
- 食事
- 手術後は消化の良いものをお召し上がりください。
- 嗜好品
- 飲酒・喫煙は手術後1週間はお控えください。
- 入浴など
- お風呂は首から下であれば手術の翌日から入れますが、洗髪・洗顔は1週間避けてください。手術後1週間後からは、目をよく閉じて、なるべく目に水が入らないように、普通に洗髪・洗顔していただいてかまいません。目の周りは強くこすらないよう十分注意してください。
その他
手術後1週間は保護用眼鏡を装用していただきます。
手術後に飛蚊症がでることがありますが、1~2週間で自然に消失します。
手術後充血やゴロゴロした感じが残ることがありますが、時間とともに改善していきます。
手術後の視力は、術後翌日から見える方がほとんどですが、他の疾患や病状によっては時間がかかる方もあります。
合併症
- 術後眼内炎
- 手術中もしくは手術後に細菌が眼内に入り、手術後に強い炎症を起こす可能性があります。その場合は、硝子体手術をおこない、眼内を抗生物質で洗浄する必要があります。
極小切開硝子体手術
眼の中の大きな空間には、97%が水で3%が繊維でできている、透明な寒天のようなものが存在しています。これが硝子体です。この硝子体が網膜を引っ張ることで網膜剥離を起こしたり、炎症や出血で濁ってしまうことがあります。硝子体手術とは、この硝子体を取り除くことで、病気の原因から根本的に治療をおこなう手術です。
以前は20G(ゲージ)というサイズで、約0.9mmのサイズの器具が使用されていましたが、現在では25G(ゲージ)0.5mmや27G(ゲージ)0.4mmのサイズで手術ができるようになっています。切開創が小さくなることで、手術時間の短縮や手術侵襲の低減、術早期からの良好な回復を得ることができるようになりました。当院でも最新の25Gと27Gの硝子体手術設備を導入し、硝子体手術をおこなっております。
網膜硝子体手術の方法 (術式・麻酔方法・手術時間)
術式
25ゲージの場合は約0.5mm、27ゲージは0.4mmの創口から、手術をおこないます。ほとんどの方は無縫合で、手術を終了します。
麻酔
手術は局所麻酔でおこないます。
手術前に点眼麻酔をおこなった後、※球後麻酔(局所麻酔)をおこないます。
※下まぶたの皮膚の上から眼球の下に直接麻酔の注射をします。
時間
症状によって異なりますが、約20分~40分程度かかります。
病状により手術時間は変わります。重篤な増殖糖尿病網膜症や増殖硝子体網膜症の場合、1時間を越える手術となることもあります。
手術中・手術後の注意点
手術中
麻酔は局所麻酔でおこなうため、会話は可能です。
何か困ったことがありましたら身体は動かさず声に出して知らせてください。
手術後
- 食事
- 手術後は消化の良いものをお召し上がりください。
- 嗜好品
- 飲酒・喫煙は手術後1週間はお控えください。
- 入浴など
- お風呂は首から下であれば手術の翌日から入れますが、洗髪・洗顔は1週間避けてください。手術後1週間後からは、目をよく閉じて、なるべく目に水が入らないように、普通に洗髪・洗顔していただいてかまいません。目の周りは強くこすらないよう十分注意してください。
その他
手術後1週間は保護用眼鏡を装用していただきます。
手術後に黒い輪のようなものが見えることがありますが、1~2週間で自然に消失します。
水の中を覗いているように揺れ動く感じに見えたり、細かい点が見えたりします。これらは眼内に空気やガスが入っているためで、次第に少なくなり、最後には泡になって消えます。
手術後充血やゴロゴロした感じが残ることがありますが、時間とともに改善していきます。
手術後の視力は、術後安定するまで6~12ヶ月かかります。(症状によります。)
病気が治っても、物が小さく見えたり、歪んで見えたり、少し暗く見える場合があります。
症状によって、うつ伏せ・座位・ベッド拳上・横向きなどが必要になりますが、術後の体位も治療のひとつです。術後の体位は症状により異なるため、術後は医師の指示に従ってください。
合併症
- 網膜剥離
- 手術後に様々な原因で網膜剥離を起こす場合があります。そのような場合は、再び硝子体手術をおこない、網膜剥離を治療する必要があります。
- 手術後の硝子体出血
- 様々な原因で、眼内に出血が起こる場合があります。出血の量が大量であれば、再び硝子体手術をおこない眼内の出血を除去する必要があります。
- 黄斑前膜
- 重症の網膜剥離の術後など重篤な疾患の術後に網膜の中心部、すなわち黄斑に術後、増殖性の膜が生じて視力低下を起こす病気です。手術により増殖性の膜の除去が必要となることがあります。
- 増殖性硝子体網膜症
- 手術後に、取りきれなかった硝子体が炎症反応などにより、強い増殖性の変化を起こして網膜を引っ張り、網膜剥離を起こす病気です。
- 術後眼内炎
- 手術中もしくは手術後に細菌が眼内に入り、手術後に強い炎症を起こす可能性があります。その場合も、硝子体手術をおこない、眼内を抗生物質で洗浄する必要があります。